デジタル民主主義ってdead endでは
デジタル民主主義/市民参加、以下の二つの目的を追っていると思う
1 集合的知性によって政治的意思決定の質を高める(客観, 知性の問題)
CommunityNotes, Polis, etc
1 大事なのが、民主主義は「人間ひとりひとり大事だよね」みたいな前提が置かれている
国家や社会より先に「権利をもつ個人」が想定されるという点です
近代政治思想では、「自然状態における個人」が契約を結んで国家を形成するという社会契約説
近代個人主義が民主主義の思想的基盤
その前提に立った時の手続き的な正統性、前提となる価値観とメカニズムの一致が求められている
Polisとかはその点が素晴らしい
予測市場による政策決定とかはここに含まない
2 人々の納得感や効力感を高める(主観, 感情の問題)
例えば、ブロードリスニングをやったり、スケールされた形で熟議をやったりすると、そこで声を聞かれた側には何らかの感覚の変化が起きる
「自分の声が聞かれている」「自分が関与できている」「納得できる」みたいな感情
効力感、手触り感 庭の話 「政治的有効性感覚」political efficacy とか
もっと言えば「現体制に不満がない」とか「この党の決定に納得/賛成できる」みたいなところまで行き着く
これはマーケティングやプロパガンダをやることとあんまり変わらない。「人々にこういう主観的感覚/感情を持ってほしい」という目的に最適化することになる。
多分社会の安定とかガス抜きには役立つ。むしろ中央集権的な全体主義国家の政府が一番欲しがると思う。
その上で、
1については
集団的知性としての民主主義は、個人主義を前提としているので人間の能力がボトルネックになってしまう
個人主義を前提とする集団的知性は、そうでない集団的知性に負けそう
(アイデンティティの一意性に縛られているので、シビル攻撃に弱いし、AIが伸びると人間だけの束は相対的に弱くなる)
個人主義を前提:Polis, CommunityNotes, デジタル民主主義
個人はどうでもいい: numerai, futarchy, 予測市場, etc
市場はアイデンティティを問わない。なのでシビル攻撃とかは原理的に不可能で強いし、質の理論値を出せる
あと短期ではイーロンマスクに負けそう
そんな中で、メカニズムを「民主主義的な価値観」にalignさせる意味はどこにあるのだろう..?と
2については
これを追った結果は「政治家が民意を自由自在に制御できる状態」では?
プロパガンダレベル100を作りたいんだっけ..? 違くないか?
1の手続き的正統性を保った上で2を追えると理想像と合致するとは思うが、1がなくなった時点で2だけ追うのもあんまり意味がなさそう
みたいなところで、「これを目指してデジタル民主主義をやるぞ!」みたいなkgiがなくなってしまった
その上で追うとよさそうなことの仮説メモ
歴史上、中央集権的または権威主義的な体制では、トップが重大な誤りを犯したときに柔軟に修正できず大きな惨事につながることがしばしばありました。AI運用でも、設定されたゴールやアルゴリズムが間違っているのに誰も修正できない状況になれば、破滅的リスクを生む可能性があります。
これはあると思っていて、シンプルに中央集権が脆弱だということ。反脆弱なシステムは?
そもそも世界を最適化関数ゲーにせずに人が手綱を持ち続けるための手続きを考える
これは訂正可能性とかが言ってる話とも近いと思っている
政府や市場から独立した空間としての「市民社会」
Habermasのこれでは?
訂正可能性の哲学は、政府は予測市場でも共産党の指導でもイーロンCEOでも、それとは独立したレイヤーが訂正可能性を突いてくることが大事、という話だと理解
データを集めて予測市場なりAIなりに渡すための入力インターフェースと、安定、効力感などを作り出す出力インターフェースとしての"熟議"
政策決定者目線での入出力
「色々な意思決定プロセスをやろう」とかではなく、Polisのように1つのスマートな仕組みをいろいろな場所に展開するほうがインパクトあると思う。
考えているのは、futarchyでいうところのvalueを投票する部分、ここをスケールした熟議システムにすること。AIを介したコミュニケーションによって熟議をスケールできると思っている。何らかの、熟議の結果としてvalueが出力されるものを作りたい。
ここで、あえて「価値が分散していて訂正可能性が確保されていることがantifragleで良い」として、立場の分散と軸の数ができる限り多い状態 かつ それでも納得感がある状態を目指す。
futarchyは、ある程度ゆっくりとした長期目線のvalue決定システムがないと当然壊れる
今の投票システムのような意図的なリミッターが必要だし、多数の専制が必要
しかし同時に、大規模かつリアルタイムのフィードバックがあればあるほど良い
ここを両立するアーキテクチャは想像できる
つまり、結論としては
Futarchy (vote values, bet beliefs)
ただ、"vote values"の部分が大きく元の提案とは違う
個人主義的な前提は捨てざるをえないが、ヒトのコミュニケーションを通じた相互理解とか納得感とかそういう部分、そして訂正可能性という力を持った状態は維持。
Anti-fragileな世界のための訂正可能性と多元性
その上で、それらの価値を前提としてなんとか正統性が生まれる仕組みを考える
あと普通に納得感、効力感の演出を頑張る
そのための手段としてAI-mediated deliberation based on Intersubjective Communication
この辺からだいぶ怪しくなってくるね。自分の中では繋がっているように信じられているが、多分いくらでも叩けるblu3mo.icon
その上で、AI-mediated deliberationの部分はFutarchyとは独立に検証できるモジュール。しかも独立に役に立つ。
予測市場の代わりに政治家でも官僚でもなんでもいい。
そのほかメモ
保守的な立場として、「今の代議制民主主義の仕組みを所与のものとしつつ、それとは別のレイヤーで色々実験する」みたいな
ラディカルマーケット
民主主義的理想像がどう関わってくるのか気になる
それはそれとして、現実世界でテクノロジーによって改善できそうなことは死ぬほどある
異なる意見を持つ人間同士の対話の支援とか
これは、まだ